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菜食でみんなをつなげるプロジェクト
天のしずく
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キーワード: 食文化、農業、辰巳芳子
ドキュメンタリー、113分
2012年、日本
監督:河邑厚徳、 ナレーション: 谷原章介、朗読:草笛光子
作品紹介
「いのちのスープ」で知られる辰巳芳子さん。そのスープは、彼女が病気の父親のために工夫を凝らして作り続けてきたものが、始まりだったそうです。彼女の半生を紹介するこのドキュメンタリー映画は、いのちを養う食の尊さ、その食を育てる農の営みの存在を改めて気づかせてくれます。映画はスープの食材を提供する生産者の誠実な姿を映します。そして、私たちをはっとさせます。日本の豊かな自然と生産者たちの思いが、時間をかけて育んだ、それらの農産物こそが「いのち」なのだと・・・。そうすると、まるで慈しむようにスープを作る辰巳芳子さんの姿を見たとき、とても納得がいくのです。
現代社会に生きる私たちの食に対する意識は、とても無機的で、食はモノとして扱われているように思います。スーパーでは、ラップにくるまれた野菜、切り身になった魚を買い、コンビニではレンジで温めるだけのお弁当が売られています。
でもこの映画は気づかせてくれます。食は、農産物が大自然から与った命を、私たちにつなぐ、命そのものであるということをです。
食事を作るとき、食べるとき。その食が命であり、私たちの命となっていくことを感じ、それを可能にしている全てに感謝して、「いただきます」と言いたい。そんな気持ちになれる映画です。