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大豆に関する噂の真相 3 動物実験 【FRNブログ記事翻訳】

大豆に関する噂の真相 3 動物実験 【FRNブログ記事翻訳】

動物実験

 大豆を非難する主張の多くが、動物実験をその根拠としています。ですが人は他のどの動物とも違います。ですから動物にある影響を与えた食品が、我々人間にそれとは異なる影響を与えることがあります。プロテアーゼ阻害因子はたんぱく質を分解する消化酵素の働きを阻害する物質です。FallonとEnigが参照した研究によると、大豆から取り出したこのプロテアーゼ阻害因子は一部の動物でがんを引き起こしましたが、これらが人間においても同様の働きがあることを示唆する証拠は確認されていません。実際、大豆に含まれるプロテアーゼ阻害因子は人間において結腸癌、前立腺癌、乳癌の発症を減少させることが示されています。

FallonとEnigは大豆がラットの膵臓がんのリスクを高めることを示した1985年の研究を重視しています。ですが国立がん研究所の研究者らは、ごく一部の動物、とくにラットやヒヨコの膵臓は、大豆に含まれているようなプロテアーゼ阻害因子に非常に敏感であると指摘しています。この過敏性はハムスター、ネズミ、犬、豚、そしてサルなどの他の種では認められておらず、従って「人体で起きるとは考えられない」としています。実際に、大豆以外与えられなかったラットでは膵臓がんのリスクが高まった一方で、多くの大豆を摂取している人間においてはすい臓がんの発生率は低下しています。

極めて酷似していると思われる種であっても、細胞レベルでは極めて異なる働きをします。FallonとEnigが指摘するように、ラットの赤ちゃんが大豆で生き延びることができないのは事実です。ですが、ラットの赤ちゃんはまた、人間の母乳でも生き延びることはできません。これはラットと人間の栄養素要求が大きく異なるためです。人の母乳の例えばタンパク質の含有率は5%ですが、ラットの母乳では45%です。この必要栄養素の差および、異なる種への反応は計り知れません。ある種にとって極めて栄養価の高い食品が、他の種にとっては食べることができず、毒性さえ有することもしばしばです。

大豆は多くのイソフラボン(植物性エストロゲン、即ち植物性の物質で弱いエストロゲンに似た働きをします。)を含有します。FallonとEnigは、大豆イソフラボンの摂取と発がん性の相関関係を示すと思われる2、3の動物実験を指摘しています。ですが大豆の消費は、人間においては乳癌の発症率を低下させることが繰り返し確認されてきており、これは大豆に含まれるイソフラボンによるものなのです。

 何故このような違いが生じるのか。デラウェア市にあるデュポン小児科の臨床科学科に籍を置くK.O.Kline医学博士はNutrition Reviewに発表した1988年の論文で「この論文から明らかなことだが」とし、「(大豆)イソフラボンが与える影響は、異なる種および異なる細胞では極めて異なる」と論じています。FallonとEnigの意見は異なります。彼らはKlineの意見を非難し、「これは科学的にでたらめだ」と言って憤慨します。ですが異なる見方をすれば、Klineは異種間における生理学的な違いが存在し、それを考慮にいれるべきであるという現実を単に認めているだけといえます。

妊娠中に服用した母親から生まれた子供に恐ろしい出生異常を引き起こす、サリドマイドという薬品を覚えているでしょうか。サリドマイドは幅広く動物実験が行われ、完全に安全性が確認されたと考えられていました。同様に、近年、ダイエットが必要な人の救世主とされたフェンフルラミン(食欲抑制薬)とデクスフルフェラミン(中枢性食欲抑制薬)の組み合わせは、詳細な動物実験で非常に安全であることが確認されていましたが、残念なことに、人においては心臓弁の異常を引き起こしました。関節炎の薬であるOprenがサルで実験された時、何ら問題は発見されませんでしたが、回収されるまでの間に61人が亡くなりました。Cylertは動物では問題ありませんでしたが、多動症の子供たちに与えた時は肝機能障害を引き起こしました。

 

原文はこちらfoodrevolution.org/blog/the-truth-about-soy/